不思議な話

ミステリー

【短編小説】閉店前のレコード屋

真夜中の帰り道、山沿いの薄暗い道を走る老夫婦・洋子と洋一は、ランプの灯りに誘われて一軒の小さなレコード屋に立ち寄った。看板には「閉店間近」の文字。誰もいないはず...
ファンタジー

【短編小説】こびとの庭

日曜日の午後、風がやさしく撫でる歩道の隅に、ひとつだけ見慣れない小さな花が咲いていた。透き通るような淡紫色と、まるで星の欠片を閉じ込めたような真ん中の光。その花...
ファンタジー

【短編小説】かき氷と風の精

夏休み、晴人は祖父の住む山間の村へやってきた。東京の暑さとは違い、朝の空気は涼しく、蝉の声が遠くの林間から淡く響いている。祖父の家の縁側には古いかき氷機が置かれ...
ドラマ

【短編小説】ログインは、真夜中に

スマートフォンの通知音が、真夜中の静寂を破った。◇◇◇ さん(以下 A)からのダイレクトメッセージ:「こんばんは。今、流れ星のツイート見ましたか?」深夜、SNS...
ミステリー

【短編小説】第二船倉の記録

遠洋漁業船「第八光翔丸」が鹿児島港を出たのは、秋も深まる十月の初旬だった。乗組員は全員で十人。うち新人が一人。大漁旗をたなびかせ、長い航海に出る準備は整っていた...
SF

【短編小説】7秒後の未来

風が冷たくなり始めた秋の放課後、中学二年の颯太は、商店街の奥にひっそり佇む古道具屋で奇妙な腕時計を見つけた。金属の風合いが時代を感じさせるその時計は、どの針も7...
ファンタジー

【短編小説】葉陰のささやき

理央は、ただ静かな場所が欲しかった。都会の喧騒、上司の叱責、繰り返す残業。ふと目を閉じると、音が押し寄せてくる。電車のアナウンス、人の足音、スマホの通知音。どこ...
SF

【短編小説】地球保存装置

その計画は、極秘裏に進められていた。名を「自動惑星アーカイブ計画」。地球のあらゆるデータ——地質、気候、生態系、都市の構造、人間の記憶、言語、歴史、すべてをデジ...
ミステリー

【短編小説】空の目の沈黙

地球の夜空をめぐる無数の人工衛星。そのひとつ、観測衛星「アルテミス5号」は、地球規模の環境変動を監視する重要な“目”だった。だが、そのアルテミス5号が、突如とし...
ミステリー

【短編小説】砂に沈んだ町

砂漠の夜明けは、静寂の中に薄紅の光が差し込む。考古学者のリナは、ラクダの背で揺られながら、遠くに広がる影を見つめていた。砂の海に浮かぶそれは、どこにも記されてい...