通勤におすすめ

ミステリー

【短編小説】空の目の沈黙

地球の夜空をめぐる無数の人工衛星。そのひとつ、観測衛星「アルテミス5号」は、地球規模の環境変動を監視する重要な“目”だった。だが、そのアルテミス5号が、突如とし...
日常

【短編小説】休日はごきげんスニーカー

目覚まし時計の音がしない朝。それだけで、心がふっと軽くなる。独身OLの美月は、久々の完全オフを迎えていた。部屋の窓を開けると、春のやわらかな風がカーテンを揺らし...
ドラマ

【短編小説】風を背負って

春先の野を抜ける風は、どこか父の背中の匂いがした。若き行商人・タケルは、父の形見の荷車を引き、ひとり道を歩いていた。荷車には布、器、塩、薬草、村から村へと運ぶ品...
日常

【短編小説】朝の風とヘルメット

エンジンをかけた瞬間、眠気がふっとどこかへ飛んでいく。小さな出版社に勤める智は、毎朝バイクで通勤している。都心の雑多な街並みを抜け、川沿いを走り、ビルの谷間をす...
日常

【短編小説】今日も処方せん通りに

朝八時半。白衣に袖を通すと、気持ちが少しだけ引き締まる。調剤薬局「みなと薬局」の薬剤師・涼子は、開店前の店内を一巡しながら、棚の薬をひとつひとつ確認する。ピッと...
日常

【短編小説】きょうのお買い得

木曜日の午前十時。絵理子はお気に入りのエコバッグを肩に、近所のスーパーへと歩き出す。家族が出かけた後の、たった一人の静かな時間。それが、彼女にとっての“小さなご...
ドラマ

【短編小説】潮の道しるべ

夜明け前、海はまだ眠っているかのように静かだった。真司は父の形見のゴム長靴に足を通し、小さく息を吐いた。冷たい風が頬をかすめ、潮の匂いが鼻先に染み込む。「親父も...
ドラマ

【短編小説】風を読む男

滑走路を吹き抜ける風は、いつだって何かを運んでくる。元ベテランパイロットの圭一は、飛行学校の訓練教官として、静かな日々を送っていた。制服を脱いで五年。彼はもう、...
日常

【短編小説】お昼寝タイム、はじまりました。

午後二時になると、真理のアラームが鳴る。「そろそろ、横になろうかな」在宅勤務になって三か月。毎日続くオンライン会議と、終わらぬ業務の山。慣れないデスクワークに肩は凝り、目はしょぼしょぼ。そんな彼女のささやかな日課が、午後の三十分だけ取る“お昼寝タイム”だった。
SF

【短編小説】最終承認

その日も、青年コウジは定時に職場へ向かった。オフィスとは名ばかりの、白く無機質な個室。椅子、卓上モニター、そして中央に鎮座する、たった一つの赤いボタン。「最終承認者」